青年の波
青年はいつも
たった一人で
あの海に向かっていった
あの大きな波に
乗ることができたなら
きっと自分の夢にも
乗ることが出来るんだと
信じて
願って
あの波に向かっていった
青年の瞳は
真っ直ぐに
遠くの沖だけを眺め
決して後ろは振り返らず
青年の背筋は
真っ直ぐに天まで伸び
前だけをしっかりと眺めていた
これからやって来るであろう
大きな
大きな
波の形をした
夢だけを
胸高らかに眺めていた
青年はいくつもの
波にもまれながら
やがて男に
なっていった
いくつもの
しょっぱい潮水を
飲みながら
やがて大人に
なっていった
いくつもの
夏が過ぎて
やがて青年は
一番大切な
夢を
達成していった
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