|
冷凍みかん
お母さん
上野の駅も
随分と様変わりしました
駅の構内には
たくさんの商店街ができ
随分と様子が変わりました
ただ以前と変わらないのが
中央改札口の上にある
あの大きなレリーフです
お母さんも
きっと
見たことでしょう
あの大きなレリーフ
集団就職で
大曲から
始めて東京になって来た
少女の瞳には
どんなふうに
あのレリーフが
写ったのでしょう
小さな鞄に
夢とか
希望とか
可能性とか
不安とか
見えないものが
抱えきれないほど
ぎゅうぎゅうに詰まった
小さな鞄
僕は今
その鞄を受け継いで
必ず志しを果たすような
息子になってみせます
だからもう
安心して
あの時の
冷凍みかんを
食べてて下さい
お母さんの
長く辛かった旅は
今ようやく
終わったのですから
黄色いたんぽぽが
どこまでも
どこまでも
見渡す限り一面に
咲き乱れている
終着駅に
やっと
たどり着いたのですから
|