雪だるま
夢のあとの街には
有象無象の
消えかけた
雪だるまたちが
戦い敗れて
鎧に矢が刺さったままの
武将のように
塀にもたれかかっていたり
路の一部になっていたり
首がもげていたり
雪だるまよ
どうせ
消え去る宿命ならば
いっそ
最後は
おてんとう様に
負けねぇぐれぇ
熱く熱く
生きようじゃねぇか
完璧な雪だるまなんか
いやしねぇ
最後の気力を
振り絞って
手負いの雪だるまだって
大逆転できるという
誇りと意地を
しっかりと
天下に見せつけてやろうじゃねぇか
そんでもって最後は
きれぇさっぱり
何にも残さず
水に流そうじゃねぇか
雪だるまよ
お前も
誇り高き男だろ
こわがることはねぇ
どうせ最後は
消え去る宿命
この路は
きれぇごとだけじゃ
生き抜いていけねぇ
泥だらけの
熱き血潮の
雪の魂の塊になって
大逆転して
五臓六腑の底から笑って
想い出一つ残さず
大地にもどろうじゃねぇか
お前の
夢は
今始まったばかりじゃねぇか
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