オバマ大統領閣下 就任演説では失望しました
ここに一枚のCDがある
その中には
一人の誇り高き男の
魂がこもっている
彼はこうスピーチしている
「私には今夢がある
私の四人の小さい子ども達が
肌の色ではなく
内なる人格で
評価される国に
住める日が
いつか来るという夢が
私には今夢がある
将来いつか
幼い黒人の子ども達が
幼い白人の子ども達と
手に手を取って
兄弟姉妹となり得る日が来る夢が。」
彼のスピーチを直接聴いたことがなくても
彼の言っている全ての英語がわからなくても
彼のスピーチからは
感じるものがある
強烈にある
なぜなら
我らは
同じ人間だからだ
生まれた環境や
生まれた境遇や
肌の色が違っても
共感し
魂を震わすことができる
なぜなら
我らは
同じ人間だからだ
彼の名は
マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師
誇り高き彼は
その後
凶弾に倒れた・・・・
そして今日
彼と同じ
アフリカ系アメリカ人である男が
大統領になった
彼は大統領選挙のキャンペーン中から
人種を意識させない戦い方を戦略的に選び
勝ち上がり
這い上がってきた
もちろん彼は
アフリカ系アメリカ人である以前に
アメリカ人であり
公民権運動から出てきた
候補者でないことは
重々承知しているが
それでも
どうしても
今回の就任演説の内容では
物足りないものを感じるのは
私だけではないはずだ
多くのアフリカ系アメリカ人も
そう思っているだろう
生中継を記録しながら
全てを観ていたが
人種の件に触れた箇所は
この一カ所しかなかった
「60年前、みなさんが
普通に行ける
レストランに入れなかった
父親を持つ男が
今こうして
みなさんの前で
最も聖なる
宣誓の誓いをすることができる。」
この一瞬
拍手がパラパラとなったが
直ぐに止んでしまった
彼はどんな時も冷静に
現実を踏まえた上で
期待値を上げないまま
現状を訴えるスピーチをしてきたが
今回の歴史的なスピーチでは
それだけではいけないのではないか
彼が宣誓台に立っていること自体が
もうすでに歴史なのであるから
そして
彼がもしここで
人種の件に触れたとしても
それはアメリカを
二分することにはならないと思う
もし私がケネディにおける
ソレンセンのように
歴史的なスピーチを書く機会を与えられた
スピーチライターだったら
人種そのものに
スポットを当てるのではなく
人権の形を借りて
夢にスポットを当てたと思う
夢は
願えば叶うのだと
アフリカ系アメリカ人でも
大統領になれるのだと
人は夢があるから生きていける
同じ夢を目指さなくても
夢を目指すという共通言語は
世界共通である
しかしこの重要な一点を
オバマはわざと外してきた感がある
その気持ちもよくわかる
今はそんなことを言っている
平和な時代ではない
現実的な厳しい現状を言って
国民の期待値を下げ
地に足の着いたことを言っているのだと
それはそうかもしれないが
決して間違えでもないが
オバマならそれも踏まえた上で
夢や
希望に対しての
歴史的なスピーチができたと思う
もっと高揚感を出した
全世界の人々の魂に
突き刺さるような
歴史的なスピーチができたと思う
アメリカは歴史上
人種を乗り越えるという
夢のために
多くの血を流してきた
事実がある
そして
アフリカ系アメリカ人である彼は
今までのどんな大統領よりも
その事実を語る資格を
十分に持っている
いやそれ以上に
オバマには
そのことを就任演説で
言わなければならない
歴史的な使命があったと思う
オバマ自身もそのことは
重々承知していたと思うが
そのことから
わざと逃げた感がある
そのことに強い
失望感を感じたし
不完全な就任演説であった
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